ウェブインスタレーションについて

【ウェブインスタレーション】

(英語: WEB Installation art) とは、21世紀に考えられた美術のジャンルである。また、その美術的概念、表現手法、作品自体を言う。「情報が蓄積されたサーバ」「サーバからの情報を各種デバイス(コンピューター、パーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォン等)に届けるネットワーク」 「情報が映し出された各種デバイス」「各種デバイスのある場所」から構成されている。鑑賞者は各デバイスの画面を境に、情報が蓄積されたサーバ、サーバか らの情報を各デバイスに届けるネットワークからなるインターネット空間と、デバイスのある実在する空間に身を置き、全体を「体験」することになる。「体 験」とは鑑賞者がその空間を見たり、聞いたり、感じたり、考えたりすることである。

【ウェブインスタレーションの意味】

他のインスタレーションとの共通性 インターネットにある種の空間性を見出し、これまでのインスタレーションの手法を仮想空間であるインターネットに持ち込んだものである。 他のインスタレーションとの違い ウェブインスタレーションは各デバイスの画面を境に、現実空間と仮想空間の二つの空間を扱っている(二重の空間の使用)。 これまでのインスタレーションの概念に収まらないものとして確立されている。 メディアアートにおけるインターネットアートとの違い 西洋美術の文脈に倣い、インスタレーション、シミュレーショニズム、そして独自の美術理論である「ごっこ論」により展開されている。

【ウェブインスタレーションの意義】

鑑賞者を現実空間と仮想空間の境目のない空間に置くことで、人は何にリアリティーを見出し、信用するのかを問題視している。 作家の創作によるWEB情報をインスタレーションとして設置することで現実と仮想の同期をアイロニーとして取り扱っている。

【特徴】

インターネットにある種の空間性を見出し、これまでのインスタレーションの手法を仮想空間であるインターネットに持ち込んだものである。基本的にインスタレーションは一時的であるが、ウェブインスタレーションは一時的かつ恒久的なものである。 ウェブインスタレーションは作家の創作によるWEB情報をインスタレーションとしている。そのため、インターネットの存在が必須であることから設置場所に固有(サイトスペシフィック)のものであり、その点においてこれまでのインスタレーションに共通している。 しかし、通常インスタレーションは一つの空間を前提に行われるが、ウェブインスタレーションは各デバイスの画面を境に、現実空間と仮想空間の二つの空間を扱っている(二重の空間の使用)。例えば、ガラスを用いて考えてみると、ガラスは向こう側の空間と、こちら側の空間を隔てている様に見える。しかし、そのガラスに貨幣などを貼付けると、どちら側の空間にも属していると観ることができる。 ウェブインスタレーションでは、ガラスの様にデバイスの画面が仮想空間と現実空間を隔てており、ガラスに貼付けた貨幣の様に画面に映し出されたWEB情報によって仮想空間と現実空間の境目が消し去られるのである。すなわち、鑑賞者はそのWEB情報を前に仮想空間、現実空間の境目のない空間に置かれることになる。 鑑賞者の閲覧が終われば、デバイスの画面は閉じられ、記憶の中でしか残らない。ゆえに、ウェブインスタレーションは鑑賞者側が流動的であるという点において一時的(テンポラリー)である。しかし、サーバ情報の削除を例外とし、サーバ情報にアクセスする(インターネットに繋がる環境にある)ことを前提とすると恒久的である。すなわち、恒久的にサーバ情報が浮遊しており、インターネットを介して鑑賞者が流動的に参加することでエレメントが揃うのである。 なお、作家の創作によるWEB情報とは、作家自身が作成したホームページ等を指し、facebook、mixi、youtube等の既存のSNSや動画投稿サイトのようなアーキテクチャーを利用したものではない。 ウェブインスタレーションは、仮想空間と現実空間の境目のない空間を意図しており、現在のメディアアートにおけるインターネットアートが一般の現代芸術や実空間と仮想空間の橋渡しという観点で語られている点において異なる。また、ウェブインスタレーションは西洋美術の文脈に倣い、インスタレーション、シミュレーショニズム、そして独自の美術理論である「ごっこ論」により展開されている。

【歴史】

2010年に美学者 母によって行われ、同年に『ウェブアート宣言』(Web art declaration)を宣言。 代表的な作品として『installation.jp』『総合芸術企業「machromatic」』